抵抗があってこそ、ものになる。これは、ある映画を観ていた時に感じていたことです。そのことを感じた時、人生がうまくいかないという悩みはどこかに飛んでいきました。そして、人生がうまくいかないことに意味がある、そんな思いを抱くようになりました。
今回は、人生がうまくいかないことに意味があるということについて、「抵抗があってこそ、ものになる」という視点から書いてみたいと思います。人生がうまくいかないと悩んでいる人にとって、悩みが少しでも解消されればと思います。
映画「Always三丁目の夕日」
抵抗があってこそ、ものになる。このことを強く感じたのは、映画「Always三丁目の夕日」を観ている時でした。この物語を知っている人は、思うかもしれません。そんなことを感じられる映画だっけ?と。
Always三丁目の夕日は、昭和33年が舞台となった夕日町3丁目に住む人々の温かな交流を描いた物語です。物語と言っても、特にストーリ性がある訳ではなく、本当にただ夕日町に住む人たちの日常を描いた映画です。
ただの日常を描いた映画で感動するのか?と思っていたのですが、3作すべて観て、見事に大号泣でした。そんな中、私が一番印象に残ったシーンがあります。そのシーンこそが、私が「抵抗があってこそ、ものになる」と感じたシーンです。
勘当された本当の理由
この映画の主人公でもある吉岡秀隆演じる茶川龍之介は、小説家になることが原因で父親である林太郎に勘当されてしまいます。勘当された茶川は、亡くなった祖母が営んでいた茶川駄菓子店を継ぎ、駄菓子店をしながら小説を書くことに。
そんな中、突然、父・林太郎が危篤状態に。しかし、勘当された茶川は、危篤を知らせる電報が届いても、見舞いに行こうとはしませんでした。
しかし、茶川龍之介の妻で小雪演じるヒロミに説得され、渋々見舞いに行くことに。そんなやつ知らん!せっかく見舞いに行った茶川でしたが、再度、父から出ていけと言われてしまいます。
そして、その後、父・林太郎は亡くなってしまいます。「やっとくたばりやがったか。」父・林太郎が亡くなったとき、茶川は悲しそうではありませんでした。むしろ、清々したという感じです。
父・林太郎の葬式。茶川は、そこで、驚きの事実を知ることになります。それは、勘当に込められた父・林太郎の本当の思いです。
勘当はすべて父の演技だった。茶川は、林太郎が亡くなった後、それまでずっと林太郎の世話をしてきた叔母からその真相を聞きます。
林太郎が茶川を勘当した本当の理由。それは、小説家という険しい道は生半可な気持ちではやっていけないということで、わざと厳しく接して勘当したということでした。そして、実は林太郎は息子・茶川を一番に応援していて茶川の「冒険少年団」が掲載されている時のマガジンはすべて購入して読んでいたということです。
茶川が若い頃に使っていた自分の部屋に行ってみると、その部屋は、茶川が学生の時のままの状態できれいに残されていました。そして、本棚には、茶川の作品が掲載されたマガジンがすべて並べられていて、そのすべてに林太郎の感想が書かれた付箋が挟まれていました。
茶川は、勘当したはずの父・林太郎が、実は、自分のことを一番応援してくれていたという事実を知ることになりました。
抵抗があってこそ、ものになる!
映画の中では、特に、茶川の小説家人生と林太郎の勘当の繋がりが説明されているわけではありませんが、私は、茶川が叔母から父親の勘当の事実を聞かされるシーンを観た時、勝手ながら、「抵抗があってこそ、ものになるんだ!」と思いました。
もし自分が父親に勘当された場合のことを考えてみると、勘当した父親を見返してやりたいという思いは絶対に出てくると思いますし、勘当されてまで始めたことはちょっとやそっとでは辞めることはできません。
茶川にも勘当されたことで、このような思いは絶対にあったはずだと思います。父・林太郎の勘当が抵抗となって、それが行動力と継続力の源になっていたことは間違いないと思います。だからこそ、売れない時期が続いても小説を書き続けられたのだと思います。
そして、この「抵抗」の必要性について考えてみると、実は色んな事に当てはまります。
向かい風が力になる
例えば、ヨットは、風がなければ前に進むことができません。そして、ヨットが一番速度が出ると言われているのが、クローズドホールドと言って、前方斜め45°からの向かい風です。
厳密に言うと、向かい風がセールに当たることで、セールの膨らんだ外側と内側に出来た気流の速さの差によって揚力が発生して、その揚力によってヨットは走るのです。
例えば、飛行機の翼を想像してみてください。
飛行機の翼に風が当たると、青色の矢印のように空気が流れます。この時、翼上面の空気の方が下面に比べて速くなります。そのため、翼上部の気圧が下面に比べて低くなります。この空気圧の差によって、揚力が発生し、上に持ち上げられて、飛行機は飛ぶことができます。
ヨットのセールも飛行機の翼と同じ仕組みになっていて、向かい風によって発生する揚力によって走ります。
私はヨットに乗る前は、勝手に追い風で走るものだと思っていたのですが、ヨットが一番力を発揮できるのは、クローズドホールド(斜め45°から来る向かい風)ということを初めて知ったときは、かなり衝撃を受けました。
重さが力になる
ボールを投げる時を想像してみてください。ピンポン玉と野球ボールはどちらが遠くへ投げられるでしょうか?当然、野球ボールですよね。ピンポン玉は、軽すぎて投げる時に力が伝わりにくく、投げた後も風の抵抗に負けてしまいます。
一方、野球ボールはある程度の重さがあるため、投げる時に力を伝えることができます。そして、風の抵抗を受けてもブレることなく真っすぐ飛んで行ってくれます。
ボールを投げる時は、重さが抵抗となって、そのおかげで力いっぱい投げることができるんです。
威力が力になる
抵抗があった方が力を入れやすい。このことは、テニスでも同じことが言えます。テニスのストロークで一番難しいのは、止まっている力のない球を強く打つことです。逆に、相手から打たれた力のある球を返球する方がとても簡単です。
それはなぜかというと、止まっている球を打つ時は、威力がなく押される力がないためボールに力を加えにくいんです。一方、相手から打たれた力のある球は、押される力があるため力をボールに伝えやすいんです。
このようなことを考えてみると、どんなことでも抵抗は必要で、抵抗があるからこそ力を入れることができるんだということに気が付きました。そして、何かを修得したり目標を叶えたりするときも、やはり抵抗があって初めて力を発揮できるのではないかと思いました。
うまくいかないからこそ、うまくいく
うまくいかないからこそ、うまくいく。人は、抵抗があるからこそ力を発揮できるのだと思います。乗り越える問題や困難がなければ、人は、それを乗り越えるための力を発揮することができません。
人生うまくいかないことばかり。これは、私がある成功者から学んだことです。何か目標を達成しようとするときには、問題や困難が次々と襲い掛かってきます。一つの問題を乗り越えたと思ったら、次の問題が襲い掛かってきます。そして、次の問題を乗り越えたら、またその次の問題が襲い掛かってきます。
私は、先日、このことを実感する出来事を体験しました。私事で恐縮なのですが、簡単にそのことについて書きたいと思います。
その出来事とは、先日参加させてもらったヨットの回航での出来事です。
回航では、ほとんどのことがうまくいかず、次々と問題がやってきました。強風で出航断念、強風避難、エンジントラブル、海上保安庁に救助される、命の危機。途中で、断念しようか?という話が出たほどでした。今思い返すと無事に回航を終えられたことが奇跡だと思えてしまいます。
しかし、その成功者は、問題が起こるたびにそれを乗り越えていきます。どうしようもない!という状況も何度もありましたし、死を覚悟した時もありました。問題ばかりで本当にたどり着けるのか不安になることも多々ありましたが、日を重ねる毎に、少しずつ少しずつヨットは目的地の港に近づいていって、無事回航を成功させることができました。
うまくいかないことを続けていたら、いつの間にかゴールにたどり着いた。そんな感覚でした。
以前とは違う自分自身
実は、その成功者は、一年前にもヨットを持っていて、私は、そのヨットに何度も乗せてもらってセーリングをしていました。その時は、周辺の海を数時間セーリングする程度で、セーリング中に何か問題が起こることはありませんでした。
しかし、今回の回航の困難を経験して、一年前にセーリングをしていた自分とは違う自分自身がいることに気付きました。それは、ヨットに対する姿勢です。
航海に出る時は必ず風予報と波予報を確認する。これは、当たり前のことなのですが、周辺の海をセーリングするときにはそれほど重要視していませんでしたし、実際にそれほど重要視する必要がありませんでした。確認しても風速を見る程度で波の高さや風向きまではあまり気にしていませんでした。
しかし、風予報と波予報を確認せずにセーリングすることは、命に関わることだと解りました。それは、今回の回航で、台風とも思えるほどの強風とヨットを隠してしまうほどの高波を経験したから理解できたことでした。この経験以降は、セーリングに出る時には、自然と、風予報と波予報を入念にチェックするようになりました。
他にも、大潮の時の干満差も気にするようになりました。それは、ある漁港での出来事がきっかけです。
それは、スーパームーンと皆既月食が重なった日のことです。私たちは、ある漁港に停泊していました。夜中目が覚めると、暗い船内の中ある違和感を感じました。
まっすぐ歩けない。なんか足元がすべる。外を見てみると、横の窓から空を見上げることができます。この時、私は状況を理解しました。ヨットが傾いている、と。
ヨットの船底の中心部には、キールといって、先端におもりが付いていて、ヨットが傾いた時に水平に戻す役割をするボードが付いているのですが、引き潮の影響でキールが海底に接触してしまっていて、それでヨットが傾いていたのです。
潮汐表を確認してみると、その時間帯が干潮のピークの時間帯でした。キールがヨットの重みで折れてしまうと、そこから水が浸入してきて沈没の恐れがありましたが、私たちは成すすべなく、ただ水深が元に戻るのを待つしかありませんでした。
後で調べてみると、漁港で同じような経験をしている人は結構いるらしく、漁港は、ヨットを停泊するには水深が浅すぎるところが多いということを後になって知りました。
この経験を終えてからは、航海前には、必ず目的地の港の干潮と満潮の時刻、そして、干満差がどのくらいあるのかを調べるようになりました。
他にも、今回の数多くの問題を経験したことで、学んだことはたくさんあります。今回参加させてもらったヨットの回航は本当にうまくいかないことばかりでしたが、それを経験して乗り越えてこられたおかげで、ヨットに対する姿勢が大きく変わりましたし、姿勢が変わったからこそ、以前より安全に航海を楽しめるようになりました。
まさに、抵抗(問題や困難)があったからこそ、より安全な航海をする術を身に付けることができました。
いつの間にか、ゴールには近づいている
これは、何か目標を達成する場合でも同じことが言えると思います。当然ながら初めからスムーズに達成できる目標はありません。
目標を達成する過程では必ず抵抗となる問題や困難が起こります。しかし、その問題や困難を経験して学ぶことで、目標を達成する術を身に付けることができます。
そして、冒頭でもお伝えしましたが、抵抗があるからこそ、人は力を発揮できるのだと思います。問題や困難が起こるということは、それを乗り越えるための力を発揮できるということです。
もし、人生がうまくいかないと悩んでいたり、目標が達成できずに悩んでいるのなら、今起こっている問題や困難を経験することに集中してみてください。そして、学びや気づきを基にトライ&エラーを繰り返してみてください。
トライ&エラーを繰り返しながら、うまくいかないことを経験していると、いつの間にかゴールに近づいている自分自身がいることに気付くときが来るはずです。人生をうまくいかせる一番の方法は、うまくいくまで絶対に諦めないことだと、私は、今回の回航の経験を通して強く実感しています。
まとめ
今回は、私が映画「Always三丁目の夕日」を観て感じた、「抵抗があってこそ、ものになる」ということを基に記事を書いてみました。この記事が、人生がうまくいかないと悩んでいる人にとって、何か少しでもお役に立てたら幸いです。